黒の画用紙に空いた穴、煌々と差し込む灯りは緩やかに散らばった街を照らして
「台風の後の星空は綺麗だ」
こんな言葉を誰から聞いたのか。母親もまた天文部で星々に夢を抱くのは当然のことだった。母親か顧問か生得的な知識か。どれもありえそうで間違っているようなピンボケの認識。
届かず、輝き、変わらないもの。それが星。
届き、眩み、変わりゆくもの。それが街。
今街を歩きながら文を書いている。
コンクリートを絨毯の如く埋める草木たち
大通りの無意味なネオンは寝ている
街を行く人々は行き先も決めずに漂っている
三人組、ラジオを流して項垂れる人、道に座り集う人、そんな者もいた
背景には虫と川とサイレンの三重奏
整えられた木々は須く自然に還っている
この街には余計なものがない
今なら誰だってオリオン座を見つけられる
そも、いつだって満天の星空はそこにある
変わりゆく街が眠った今日は出逢えるんだ
明日は素晴らしき日和になるだろう
そして街は在るべき形に整えられていく