一升瓶の中の海月

気分で更新される思考の投函口

消えた歴史

 

 

「お前は知り過ぎた」

それが僕のバイトに落ちた理由だった。

 

 

 

中古屋で買うのは単なるソフトではなく、一つの歴史なのだと私は思う。

101番道路で捕まえられたアルセウス、殿堂入り前で折れた御三家しかレベルの上がっていないもの、0:05のセーブデータ

どれにしても自分が推し量るにはあまりにも大きいもので、足跡を辿れるわけではない。

そこには新品を買うのとは違った楽しみがあり、それを消して旅に出るわけだが、愉しみがあった。

そう考えれば中古屋とは一種の図書館だ。容易に亡くなっていいものではない。

 

しかし、いつの日か、綺麗にそのもの自体が消えてしまった。

過去を提供する場所は、この街にはない。

 

ただ過去そのものは今も生きているわけであって、それ自体も死にかけている。

 

私の十三年間はいとも容易く姿を消す。

ではどうすれば良かったのか。

答えは今も分からない。