一升瓶の中の海月

気分で更新される思考の投函口

バーチャル蠱毒備忘録④

 

 

予選結果発表日&インターバル

 

18:00、審査員特別賞の発表時間。

雨ヶ崎笑虹の欄にはNo.11の名があった。

レヴちゃんは生き残ったのだ。歓喜の舞を踊りながら私はツイッターに切り絵をアップした。

 

 

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嬉しかった。本選に勝ち上がったことも当然嬉しいのだが、まだ彼女の声を聞くことができるということに心から感謝した。

 

歓喜に舞い踊っていたのは私だけではなかった。

Showroomの特徴的な点として、星を投票する際にはツイッターと連携する必要があり(オーディション以外なら必要ないのかもしれない)、視聴者のアイコンをクリックすると、その視聴者のツイッターアカウントを知ることができる。

星を投げた数が視聴者トップ13になるとお立ち台のような場所にアイコンが移動するので、推しの子を熱心に応援している視聴者のツイッターアカウントを軽率に辿ることができ、Showroom以外で交流を持つことができる。

 

予選寸前にした嫌な予感と、もしものことがあった時に熱心な視聴者であれば転生先を見つける可能性が高いのではないかと思い、よくレヴちゃんの放送に来ていたアクティブ視聴者を私は多くフォローしていた。

予選終了時に世界の終わりをより一層感じたのはこのフォローのせいだが、嬉しさをより一層感じたのもこのフォローのおかげであった。Showroomのシステムはお世辞にも良く出来ているわけではないが、このシステムに関しては知られてもいいと私は思う。

 

 

勝つ者がいれば負ける者もいるし、そもそも勝負を諦めている者もいたが、蠱毒は意外な方向に進んでいく。

 

もなむぅは前に触れたように巻乃もなかの中で八位になり、予選敗退した。

当初の話では、予選敗退したのだから、結果発表後即時にツイッターアカウントは消されるものだと考えられていたが、運営の管理下に置かれるだけで消されないという処置が取られることが19:00頃、椎名林檎No.6(ポム様)によって告げられた。

これを利用しもなむぅは配信内で合言葉を用意して公式アカウントをフォローしている面々を片っ端から転生先でフォローし転生を果たした。

それ以外でも予選敗退者の四分の一は転生を果たしているらしい。さっき話題に挙げていたポム様は予選の結果が出る前に転生を果たしていたらしいし抜け目ない。

 

また予選を終えてから、どうやら契約書的な規約の中では敗退後に「元〇〇」と宣言することを禁止する旨については書かれていなかったことが判明し、運営が実はガバガバであるという疑惑が浮上してきた。

 

特別審査員賞に関しても、

・pt差をひっくり返して本選出場を果たした候補がいないこと

・特別審査員賞の一番の見せ所である拮抗していた巻乃もなかの六〜八位に該当者が居なかったこと

・公式アカウントの告知が異様に遅いこと

などからもその疑惑は深まっていった。

 

 

友人の推しであるくるぶし様は九条林檎の中で三位になり本選出場を果たしたが、奴の顔は曇っていた。

何を隠そう九条林檎の中にはバーチャル蠱毒というワードが一人歩きした後にも注目され、圧倒的な票数で一位を掻っ攫っていった九条林檎No.5(5様)がいたからである。

本選出場を果たしても、正直勝ち目があるとは思いにくい。レヴちゃんに関しても雨ヶ崎笑虹の中には主人公気質の雨ヶ崎笑虹No.6(snow)、個人でも十分やっていけると確信されていて「肉体をやるからさっさと転生してくれ」とまで言われた雨ヶ崎笑虹No.12(富次郎)の二強が存在していた。

 

こちらとしては一度死にかけた心なので、残りの本選配信は楽しむことをメインにしようと考えていた。