一升瓶の中の海月

気分で更新される思考の投函口

物語

ジョナサンの若鶏のみぞれ煮としらすご飯の話

太陽はますます気合を出し始め、容赦なく私のスーツを焼いていた。 夏の時期にネクタイを締めなければならないのがこの業種の悪いところだが、移動が多くどこへ行ってもクーラーがガンガンに絶え間なく効いているので許してやろう。 ここは訪れるのは今日が…

Snow falling for A

街は久方ぶりの大雪に見舞われていた。 三月に降る雪は、季節を凍らせるように冷たい。 深夜零時、外を覗けば人の姿はなく、ただ街頭の明かりだけ。 とりわけ目的があったわけではない。思い立っただけだが、 散歩に出かけることにした。 病み明けの身体は冷…

瑞鶴について

瑞鶴の話。誰も知らなかったと思うんですけど、自分瑞鶴が好きなんすよ。 艦これで「嫁艦と言えるのは誰か?」という質問にノータイムで「瑞鶴」と返すのが自分という人間である。 艦これを初めて勝手が分からないまま赤城をを轟沈させて、空母が空っぽの我…

バーチャル蠱毒備忘録②

予選最終日 深夜 まずは何と言ってもくるぶし様の放送を見ようとした。 どうやらほぼレポート配信になっているとは聞いたがそれだけでは意味が分からない。 実情を知ろうとしたがどうやらこの時間には配信を行っていないようだ。この時にshowroomにアーカイ…

バーチャル蠱毒備忘録①

物語は確かに在った。 11/29、彼は運命と出会う_______ 全ての元凶 「進級する」 退学がほぼ確定し、とりあえず休学を勧めていた友人から久々に送られてきたLINEがこれだった。 今まで何度声をかけてもやる気を出さなかった奴がいきなりこんなことを言ってき…

「世界の終り」というテーマ

「太陽はなぜ今も輝き続けるのか 鳥たちはなぜ唄いつづけるのか 彼らは知らないのだろうか 世界がもう終わってしまったことを」 滅んだ世界を取り扱った文章を好んでいる。 勘違いしないで欲しいことは、私が快楽で今まで組み上げられてきた文明が粉砕されて…

メッセージ・ファイル

蝋燭と燭台が照らすステンドグラスの七彩の元で、 凍えた銀食器を撫でるように、私の意識と錆びた自転車は霧を裂き朝焼けを漕いでいた。 美しい風景と色彩を眺めたところで、 私の力では読者の瞼の裏に概形ですら描けない。 クロード・ モネの名画に霞を足し…

無題

空の中、水面の下。 世界は二つに分けられた。 何事もないいつも通りの帰り道、疲れた足取りで家に着きシャワーを浴びて、何かを思い出しながらベッドの上で寝転んだのが私の最後の記憶だったのを覚えている。 その事実は間違いなく正しい。次第に音が消えて…

べにたまさんを推していけ

隠してたけど、俺べにたまさんの絵が大好きなんすよね どれくらい好きかというとポテトサラダと同じくらい好き。ちなみにポテトサラダは俺の一番好きな料理 でもポテトサラダに林檎入れるやつは許せねぇよ… そんな人は宗教上の理由で知り合い以上にはなれな…

ある一つの夢(下)

晴れた空の下、駅に降りて一筋の連絡通路を歩んだ先、都市を一箇所にまとめてしまったような複合施設に僕たちはいた。 そのほんの一箇所、ショーケースが所狭しと並んだショッピングモールを、彼女はさながら蜜を探す蝶のように舞う踊る。 「これはどんな品…